質屋は、その歴史の中で何度も悪役として登場し、結局、ひどく悪いイメージを固めていってしまいました。
「高利貸し」「悪徳」「裏金」「泥棒」など、それはまあ、ひどい言われ様です。
「質」というのは、約束の保証に相手に預けておくもので、「人質」なんて使われ方もすることから判るように、「大切な物」「価値のあるもの」を意味します。
こういったものをお金と引き換えに奪う(実際はムリに奪ったのではなく合意の上なのですが)という行為から、質屋には、金の亡者、のような印象が強く根付いて行ったのでしょう。
実際に、金の力で悪行を働いていた質屋もいるようで、そのイメージが、完全に間違っているとも言い切れないのですが。
そういったことから、何となく暗さをぬぐいきれないまま、長い時を過ごすわけですが、そのイメージの悪さと、そんなところに入っていくほど追いつめられている、という体裁の悪さから、あまり表立った評判が聞こえてこなくなります。
大店はいつの間にか銀行へと姿を変え、質屋は、いつからか陰の存在になったのです。